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2024/11/24 04:11 |
ボツ案だよ。書き直している最中だよ
 遠くの竹刀のぶつかる音。自分を囲む本の山。
ぱら、ぱら、と規則的に動く紙の動き。ばたばたとせわしなくなり続ける足音。
今の自分と反対の音を聞きながら犬の獣人狩爪輝一(かりづめ てるいち)は文台についていた。
尻尾を一振りして残りを見回す。
最低でも目を通すことはして置かなければいけない本が山ほどある。
「へらないなあ・・・・・・」
どうしてこんなにも学問書に囲まれるハメになるのかといえば、家柄のせいに他ならない。
輝一の家は領主である龍人の一族に仕え、護る事を家業としていて、幸か不幸か輝一は将来狩爪家の当主になる予定なのである。
そうなるともう武術も学問もそれなりにやっておかなければいけない。
せっせとページをめくり読み進めているとふと視界が暗くなった。
不思議に思いながら見上げるとそこにはなにやら細長い包みをもちこちらを見る父、輝政(てるまさ)の姿。
「うむ。がんばっているようだな」
ひとつうなづき、輝政は文台をはさんで向かいに腰を下ろした。
「どれ、なにかわからないところはないかな。 おしえてあげよう」
「え、いや、今のところ特には・・・・・・」
輝一は少し考えるととくにわからないことはないと伝えた。
「ところで、何か用ですか? 今日はお仕事はお休みではないでしょう?」
つづけて、顔をみてから感じていた疑問を口にする。
輝政は治世にも関わる事が出来る役職についている。
最近はあまり戦はないとはいえ、毎度の戦いでどんどん増えていく戦災孤児の扱いには上も困っているところだ。
ほがらかにほっつき歩いている暇などないはずなのだが。
「そう、お前に用があってな。まあ本をおきなさい」
文台を指してにこやかに輝政は言う。
栞をはさみ本をおくと、輝一は姿勢を正した。
「お上(かみ)からお前に仕事のお達しだ。」
「本当ですか!」
輝政の言葉を聴いて輝一は目を輝かせた。
元服してからというもの、元服前と変わらず稽古に勉強に雑用の毎日だ。
最初はこれも仕方がないと我慢していたがそろそろ父に仕事を請おうと思っていたところのこの知らせ。
期待に胸が高鳴る。
「それで、どのようなものなのですか?」
今にも乗り出しそうな勢いで輝一が問う。
「なにやらお上の親族が市中へ出かけた際に小耳に挟んだらしいんだが・・・・・・街のはずれに森があるだろう?」
「ああ、ありますね。確かあの森の木は家なんかを建てるのにいいものだとか」
「そこにな、異形が現れたらしい」
袖から取り出した扇を口元にあて、飄々と告げた。
「それ、見た人は大丈夫なんですか・・・・・・!?」
輝一の顔が青ざめていく。
異形とは獣人とは違う、ひと言で言えば化け物の事だ。
形状はそれぞれ違い、どんな風に生まれるのかなどその生態は謎に包まれている。
一つわかっているのは、唐突に現れ、その場に居合わせた者を食べていくという事。
人だけとは限らず、木、岩問わず現れた場所には残骸だけが残る。
であった時の対処法はとにかく逃げる事。それも、相手がこちらに気づいていない事が条件だ。
「その見たという人は幸いにも無事だったそうだよ。だからこそ噂になっている」
輝政の言葉に輝一はそっと胸をなでおろした。
安心した際に輝政の持っていた包みがふと視界にちらつきはじめる。
「もしかして、その仕事って・・・・・・」
輝政はにやりと笑い、手に持っている包みを差し出した。
輝一は受け取り開く。中には黒塗鞘の大小拵えが入っていた。
「それは私からの餞別だ。 それを持ち、その異形を退治して来い」
扇を開き、朗らかに輝政が言う。
「はい! 必ず立派にやり遂げて見せます!」
「ああ、ちょっと待ちなさい」
今にも飛び出していきそうな輝一を引き止める。
「なんですか?」
出鼻をくじかれたような気分で輝一は振り返った。
「この仕事は基本隠密に遂行せよとのことだ。よって他言無用。行くなら暗くなってからにしなさい」
持っている扇で本の山をさし、輝政はすたすたと自身の仕事にもどっていった。
指し示された本の山と手に掴んでいる刀とを交互に見て、輝一は深く肩を落とした。
 
 
 
 
日の沈んだころに屋敷を出て、やってきた街のはずれの森の中。
異形を退治して来いといわれたものの、現れそうな場所の検討がつかない。
あてもなく森の中を歩く。
暗い森の中。今にも何か出そうだ。
いや何かではなく出来れば異形を相手にしたい。
「はぁ、どこにいるんだ・・・・・・」
手ごろな岩を見つけたので一休みしようと腰を下ろす。
夜食用にと持って来た干しイモを取り出しひとつほうばり空を見上げる。
今夜は月がきれいだ。
もう切り上げようかと立ち上がった瞬間、視界の端に何かが見えた。
そちらへ体ごと動かすと、植物によく似た小さな異形。
一見小さな花のようだ。花に見立てれば茎に当たる部分は地面へと繋がっている。
もしかして、退治してこいとはこれの事だろうか。だったならこの期を逃すことはない。
視界から消えてしまう前に刀を抜いて追いかける。
大丈夫、あの程度ならやれる。
大きい異形は皮膚が硬く倒すには人数がいるという。
それに比べてさっきみたような小物は皮膚が硬いわけでも、攻撃をされてもそれなりに武術をたしなんでいればどうということもない。
思ったより相手の移動速度が遅く、すぐに追いついた輝一は追い抜きざまに刀を横一閃に振りぬいた。
どしゃり。と切り飛ばされた異形の頭が落ちる。
「あっさり倒せたなぁ・・・・・・」
そうつぶやきながら刀を納める。
引き返そうと振り向いた輝一めがけて異形の頭が飛んできた。
「うわっ!」
しゃがみ込んでよける。
顔を上げた先にはさっき切った頭のない茎。
その周りにはツルがうねうねとうごめいていた。一本、二本と増えていく。
間もなく茎から頭が生えてきた。
「うそお・・・・・・」
愕然としていると、無数のツルが向かってきた
即座に抜刀し、応戦する。
しかし斬っても斬ってもツルは減る気配を見せない。
頭のついた異形を攻撃しても斬れた場所からたちどころに再生してしまう。
さらにツルの中には頭を花のように咲かせるものまで出てきた。
防戦一方で打つ手が見えない。
そうしている間に続々とツルが増えていく。
これ以上増えると対応しきれない。
襲ってきたツルを斬り捨て体勢を立て直した時、足に生暖かい感触を感じた。
「え・・・?」
地響きと共に足を引っ張られ空中に浮く体。
あっという間に周りの木々ほどの高さに視界が変わる。
樹木と蛇をあわせたような巨大な異形が輝一を持ち上げたのだ。生暖かい感触は異形の舌のもので、今もなお輝一の右足に巻きついている。

状況を把握したときにはもう遅く、異形の大きな口が目の前に広がっていた。




しょっぱなからかきかけ。
話のつなぎ方とか、〆方とか、最初の一行目とかいろいろと難しいです。
世の字書きさんはすごいですね。

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2008/12/14 20:40 | Comments(2) | TrackBack() | 書きなぐった

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