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2018/02/26 10:45 |
つづいているのです
焼け落ちた小屋はまだ片付いていない。
夜空に月が浮かんであたりはそれほど暗くない。それよりも明るく焚かれた火が照らし、瓦礫と、木々の影、そして一つの人影を伸ばしていた。

 三度笠に錫杖、黒い衣に身を包んだその男は火の向こうをじっと見据えて立っている。
視線の向こうには開けた道が一本続いており、山への入口となっている。
男はじっと身じろぎ一つせずに道の向こうから誰かが来るのを待っている。
緩やかな風が衣の裾を弄ぶ。それが何度か続いたあと、道の奥から何者かが現れた。
 その姿は人間の少女。ただ奇妙なことに少女は後ろから照らされたように照らされ、影が少女の前方、進行方向へのびている。
後ろから照らされているので少女の表情ははっきりしない。だが、待っていたのはこの少女であることははっきりしている。
少女の背後には青い火の玉が二つ浮かんでいた。その少し下には獣の尾が二本、ゆらゆらと左右に揺れている。
妖の印である。少女の姿に不釣り合いなその尾は彼女が人ではないことを示している。ゆっくりと歩いてきた少女は男と焚き火を挟んで、声を荒げずとも届く距離で立ち止まる。
「どうして、お前がここにいる。その姿はなんだ。」
男との間にある火によって少女の顔は照らされいる。
眉間に皺をよせ男を睨んでいた。その声は人の声で声色に込められた感情は表情に合致せず、困惑をしめしている。
男は言葉を返さない。ただじっと少女を見つめていた。
少女もまた男の返答を待ち口を開かない。少しの間、火と風と鳥の声だけが聞こえていた。
「答えろ!」
語気と共に、尾の炎の勢いが強くなる。あたりは一層明るくなった。
その明かりで三度笠で隠れていた顔が照らされる。男は口を開いた。
「わしが、頼んだ。」
「なんだと。」
「おんしと話がしたかったから、あの人に頼んだ。」
三度笠に錫杖、黒い衣に身を包んだ勘助が、妖を見つめてつづける。
「わしは、おんしの事なんちゃーじゃ知らんかった。あん男もおんしにこれ以上関わるなと言う。でも、わしはあのままさよならは嫌じゃ。」
「嫌だと言って何が変わる。私が何者かもう知っているだろう。」
「知っちゅう。ほかにもいろいろ教えてもろーた。おんしが何をしてきたのかも。」
「だったらどうする。私を殺すのか。」
シャンっと錫杖がなる音がした。殺す。という単語に勘助が反応した音だ。
「ほがなことわしにゃできん。でも、おんしに言いたいことがある。」
「・・・言ってみろ。」
自分は異形で、こいつは人間。害をなす前に排除しようとするのが当たり前の流れだ。騙していたこと、妖であることその全てについて、いくら勘助でも言いたいこともあるだろう。
また、少しだけ沈黙が流れた。どうも勘助が言い淀んでいるように感じる。
シャン、と再び錫杖がなり勘助が一歩踏み出して叫んだ。
「また、わしと一緒に居てくれ!」
その叫びは夜の静寂にひどく響いた。妖は目を見開いて固まっている。勘助は口を一の字に引き結んでいる。口端に力が入っているようで皺ができていた。
妖が何をと口を開こうとするが再び勘助の叫びによって遮られた。
「わしは一人じゃった。これからも一人でなんちゃーがやないと思ってた。でもおんしにあって、一緒に暮らして、いのおなったときひどく寂しかったがだ。前の嫁は仕方ないと諦められたがやき、おんしは諦められんかった!たった数日でもおんしの顔が頭から離れんかった!おんしが妖怪でも人間でも関係ない!これから、わしと一緒に生きてくれ!」
後半は自棄だった。前妻とは見合いだったので勘助一世一代の告白である。



盛り上がってまいりました?

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2014/09/14 00:02 | Comments(0) | 書きなぐった

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